望遠鏡で見る★天体ミニガイド

太陽系

星空は肉眼だけでも堪能できます。でも個々の天体の詳細となると望遠鏡が必要になってきます。鹿角平天文台で観望する天体の見え方のミニガイドです。

高倍率で見る惑星や月のクローズアップはシーイング(大気の揺らぎ)の影響を大きく受けます。
シーイングが良い時は素晴らしさにため息がでますが、悪いとゆらゆら揺れて細部がまったく見えなくなります。
好条件で見るために、何度か足をはこんでもらえれば幸いです(何度か見てると、細かい部分も見える、星を見慣れた目になります)。
天体写真と実際に望遠鏡を覗いた時の姿は
違います。

もっと詳しく知りたくなったら、★なリンク★な本を参考に、インターネットや本で調べてみてください。


太陽

太 陽

太陽に望遠鏡を向けるには、太陽専用のフィルターが必要です。または投影法(望遠鏡に投影板をつけて間接的に見ますが、大勢で見れかつ安全な方法です)で見ます。黒点などが主な観望対象で、特殊なフィルターを通すと、プロミネンスなどを見ることができます。

なお鹿角平天文台では日中の観望会は稀にしか行っていませんが、副鏡や8センチ屈折望遠鏡に太陽投影版やソラーフィルターをつけて通常の光(可視光)で黒点などを見ることができます。

左=Hαフィルターーを通して見た太陽。ソーラーマックス40(テレビュー)+ミニボーグにて撮影。黒点の周りにフレアやダークエレメント。外周にプロミネンズが写っている(名称はテレビューHPの太陽基礎知識を参照ください) 中=同時刻の可視光で見た太陽。アストロ・ソーラーフィルター国際光機)+ミニボーグにて撮影。 右=太陽投影法による観察(部分日食)。※以前はアイピースにつけるSUNフィルターがありましたが、目に有害な為に現在は発売されていません。

月は一番迫力のある天体です。肉眼でも小口径でもなんで見ても面白い天体です。肉眼や双眼鏡では、満月の月の模様や地球照(三日月の欠けている側がぼんやり光っている現象)程度ですが、望遠鏡では、荒涼とした地形が目の前に迫ってきます。クレーターや地形が立体的に見える欠けている月が望遠鏡でみるのにはベストな月齢です。

月というと、月の海(模様)やクレーターがまず思い浮かびます。月の見所はそれだけではありません。山脈や崖・谷・皺など様々な地形があります。クレーターにも埋もれているものやクレーターの中に更にクレーターがあったり。中央火山があったりと細部も見逃せません。また月の欠け際は毎日変わっていくので、見所が変わります。同じクレターでも印象が変わります。満月が近いと地形の影ができずにのっぺりした感じになりますが、四方に伸びるレイ(光条)や光り輝くクレーターを見ることができます。左の写真は、月齢が4日違いの月です。欠け際の見所が変わっているのはもちろんですが、同じ場所でも違ったように見えています。右円はデイオフルスクレーター付近の拡大です。同じくレターでもまるで違うクレーターのようにですね。どんな地形が見えるかはお勧めサイトの星見にいこてば月面画像集を参照してみてください。

また月は時々いろいろなものを隠します。太陽を隠すと日食。星を隠すと星食。惑星を隠すと惑星食。月自体が隠れる(地球の影に入る)と月食です。

天文台の観望会では、全体や1〜数ヵ所を(倍率をあげ)クローズアップして見ます。視野内には、様々な地形がありますので、じっくり見てください(もちろん観望時間に月がないと見れません。月齢5〜15(満月)〜18前後は、月を見ます。その日の月齢は新聞の気象欄などを参照ください)。


惑星

目立つ惑星の星空での位置はこちら

水星・金星(内惑星)

どちらも夕方・明け方の空に見え、望遠鏡では満ち欠けをしているのが分かります。最大離隔(太陽から一番離れた時)頃が見るのに適していますが、薄明中の高度が高い頃に見つけて見ないとすぐ沈んでしまいます(特に水星)。水星はラッキースターの異名があるくらいで、見つけるだけでも苦労します。水星は太陽光の危険があるので最大離隔の頃しか望遠鏡を向けられません。その為のぞいて見ると小さな小さな半月のように見えます。最大離隔の頃に見える方角が開けた場所で探してください。見える位置はアストロアーツHPの星空ガイドの今月の星空を参照してください。金星は明けの明星・宵の明星の別名があるように薄明の空で人一倍目立ちます。一番輝くときは肉眼でも日中のに見つけることができるほどです。望遠鏡で継続して観察すると満月状〜半月状〜三日月状と満ち欠けをし大きさが変化しているのが分かります。最大光度以降が形の変化が大きく面白い時期です。

鹿角平天文台では、通常の観望開始時間が薄明後の為、水星は残念ながら見れません。宵の明星の金星は最大離隔の頃に見ることができます。

水星も金星も満月〜半月〜三日月と満ち欠けをします。

写真は金星で、大気のある金星は三日月より鎌(両端)が半径より伸びて見えます。

金星(左)と水星(右の半月形)。

接近した日の日中に撮影したものです。内惑星は大気の揺らぎの影響が少ない日中がベストで、自動導入や赤道儀目盛環を利用して導入します。自分の望遠鏡で見る場合は、太陽光の危険性があり、必ずベテランの方と見るようにしてください。

土星

輪の見える惑星として一番の人気のあるのが土星です。その奇妙な姿に感嘆の声があがります。シーイングが良い時は、輪が幾重になっていることや、土星本体の縞などがわかり「これ本物?」と確認する人も(笑) 土星の回りには、衛星タイタンを筆頭に沢山の衛星が取り囲んでいて賑やかです。輪の傾きは(地球から見ると)毎年変化し、15年に一度(輪を横から見るため)輪が消失した珍しい土星を見ることができます(でも大抵の人はガッカリ)。

木星

太陽系最大の惑星。見かけも大きく平行に走る縞模様が特徴です。シーイングの良い時は何本もの縞や縞が乱れている様子が分かります。また大赤斑と呼ばれる木星大気の渦も見られます(地球側を向いていれば)が、最近は色も薄く何回か覗いて見慣れないと気がつかないかも知れません。木星には、ガリレオ衛星(写真下)と呼ばれる4つの衛星にも注目してください(木星にも沢山の衛星がありますが、望遠鏡で目につくのはこの4個だけです)。

火星

火星探査も盛んにおこなわれ話題が豊富なのが火星です。でもあんまり見た事がないかも知れません。火星は2年2ヶ月毎に地球に接近しますが、観望対象となるのは15〜17年毎の大接近とその前後の中接近だけです。
見る機会が少ないだけに、接近時には見逃さないように見たいもの。火星は少しずつ(自転により)見える模様が変化したり、四季の変化(主に極冠の変化)などあり見ていてあきません。探査機により色々と分かってきているので知識を仕入れておくとより興味深く見ることができます。03年の大接近時に太陽系最大の火山=オリンポス山が見えたのはちょっと興奮しました。
火星に限らず、ほとんどの天体はみづらいものです。よく見えないものはメンタル(心情)が見え方に大きく影響します。星を見る前にちょっと下調べをしておくと(注意ぶかく見ようとするので)より一層楽しめます。

天王星・海王星

天王星が5等級で肉眼でも見つけることができますが、双眼鏡があればなおベスト。海王星は更に暗い8等級で双眼鏡が必要です。鹿角平天文台の主鏡でみても小さな青緑色の円盤状にみえるだけです。巨大惑星のあまりの小ささに太陽系の果てを思うかも知れません。
冥王星は14等級。見ることはできますがどれが冥王星だか分かりません。スケッチあるいは写真を撮って約半月後に動いた星をチェックして検出して始めて、冥王星だと分かります。冥王星のほかにも小惑星など倍率をあげても点にしか見えない天体は、移動を確認して始めてそれだと分かります。何回かに分けて見るようなので観望会で見ることはまずありません(地球に異常接近した小惑星は、みるみる位置を変え見ていても面白いので稀に観望会の対象になります)。

1時間に50前後の出現を見せる、ペルセウス座流星群(8月12日前後に極大)とふたご座流星群(12月13日前後に極大)はお勧めの流星群。天文台ではペルセ群極大の頃にイベントをおこなっています。

彗星・流星

ほうき星と呼ばれる、尾を引く立派な彗星はごく稀にしか見ることができません。それだけに”彗星のごとく”突如として現れる神秘的でドラマッチクな姿に魅せられます。大きな彗星は望遠鏡より視野の広い双眼鏡の方が見るのに適しています。天文台では、観望時間に見える肉眼彗星が現れた時は特別観望会を開いています。

なお彗星の通った後に残された塵が地球と遭遇すると流れ星になります。そのため毎年決まった時期に現れる、○○流星群と呼ばれます。また普段の日も1時簡に数個は見られますので、天文台の望遠鏡だけでなく、野外で自分の目でゆっくり星空を眺めて見てください。流れ星を見つけるととても得した気分になりますよ。


   
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