ヤマノンレンズの作り方 

ヤマノンレンズは、虫メガネで自作したレンズです。レンズの原点といえる単玉一群の虫メガネには、カメラレンズの性能の向上で無くなってしまった、たくさんの収差が残っていて欠点だらけ。だけど味わい深い描写と自分だけのオリジナルレンズと思うと愛しささえかんじます。今回は、その虫めがねレンズの作り方と、撮影方法を紹介します。作ったらいい名前を命名してください。


●作り方は簡単だがあせらずに。ヤマノンレンズの作り方。

文房具屋で売られている200円前後の虫メガネは、昔ながらの凸厚のある焦点 約10aのものと、フラットタイプの焦点約30aの二種類。使いやすいのは子どもの頃に使った両凸の焦点約10aの虫メガネです。これとボール紙とボデイキャップがヤマノンの材料。あとはカッターなどの図工具と接着剤を用意すればいいだけ。

筒の長さはレンズ台が1a。

内筒がf(レンズ焦点)−C(ボデイキャップを付けたカメラ厚)−15_。
※レンズの焦点距離は白い紙に太陽光などを投影し実測する。

外筒がf−C +任意値(絞り取り付け部)。

基準面(ボディキャップ取り付け面。レンズ台面の切断は慎重に!
その面は接着時にも、時々たたいてそろえ、水平がでるようにする。


まずボール紙で鏡筒を作ります。紙は机の角でしごいで丸みをつけてから糊付けること。内筒の外周と外筒の内周になる部分は斜めにカットして段差を少なくしてください。接着は紙用ボンド(糊)をむらなく塗り(水で薄めて指で塗るのが簡単)、板などに押しつけ隙間ができないように固く巻き上げてください。レンズ・ボデイキャップに接着する基準面は、時々平らな面で叩いて揃えます。筒の外径はレンズ台(内径はレンズが乗る大きさ)と内筒が同じ太さにし、外筒は内筒を芯にして巻いてください(筒の厚さは2_以上に)。はみ出た糊はウエットテッシュで拭き取っておきましょう。紙の接着はあせらずに、洗濯バサミではさんでじっくり乾燥させてください。なお内側は黒く塗りつぶします。
 次にボデイキャップに2a程度の穴を開けます。釘などで数珠繋ぎに穴を開け、ヤスリやニッパーで切り取り(電動ドリルがあれば簡単)、ライターで穴のまわりを軽く炙ってカメラボディ内に切りカスが入らない様に溶かしておきましょう。

工程@ヤマノン製作の材料と図工具。

●必須材料&用具。
虫めがね・ボディキャップ・ボール紙・カッター・紙用ボンド。

●あればなおいい(便利)。
三角定規・筆記用具(ボール紙をまっすぐ切るための切り取り線を書くため)・黒マジック(筒内を黒く塗る)
パテ・ボンド(内筒とボディキャップ接着補強用)・両面テープ(紙末端接着用。一度張ると修正が難しい)
はさみ&クリアテープ(調整用)・カッター&コンパス(絞り用)・洗濯バサミ(乾燥用)
段ボール(カッター台に使用)・古新聞(糊台に使用)
釘(穴あけ用。ハンドタップやあればドリルがなおいい)・ヤスリやニッパー(ボディキャップのバリ取り用)
ビニールテープとシール(ドレスアップ用)

工程A

紙筒を作る前に紙をしごいてクセを付ける。 

工程B

ボディキャップに釘・ドリルで数珠繋ぎに穴を開ける    


 さて、各パーツができたら接着と組み立てです。ボディキャップに内筒をボンド付けして、更に全周をパテボンドで補強接着します。レンズをレンズ台にボンド付けして、ボンドが硬化したらレンズ台と外筒のはめあいを調整して押し込み、無限大でピントが合う位置にボンド付け(ファインダーで確認)します。内筒と外筒のはめあいはフォーカス部なので好みのきつさに調整してください。はめあいはカッターで削ったり、薄い紙や劣化が少ないメンデイングテープ・クリアテープを貼ったりして調整します。
虫メガネは収差の固まりで、絞らないと撮影に使えないから、レンズ径の1/3程度の開放絞りをボンド付けしておきます。これとは別にレンズ径の1/2程度のはめ込み式の絞りを1〜2枚作っておきます。絞りはボール紙にコンパスで円を書き切り取ります。内円はボケに影響するので丁寧に切り取ってください。

工程C

接着は紙用ボンドをむらなく塗る。適当な物を芯に硬く巻く。
レンズ・ボデイキャップに接着する基準面は、面を叩いて揃える。
外筒は内筒を芯にして巻く。
乾燥は洗濯バサミではさんでじっくりと。
工程Bで作ったボディキャップと内筒はボンド&パテで補強接着。 

工程D

開放絞りとはめ込み式の絞りを1〜2枚作ろう。

工程E

完成。テープやシールでドレスアップしよう。
写真は外を幅広・黒テープを巻いたYAMANON(フード付き) 

これで完成ですが、ボール紙のままでは見た目が悪いのでテープやシールを貼ってドレスアップしましょう。なお高級パーツ?として、Tマウント(内環はレンズ台に利用できる。2000円前後)や紙芯=賞状入れの紙筒など(塩ビ管もありますが、紙筒がこだわり。YAMANONは紙じゃなくちゃ!)も利用できますシステムアップでフィルター枠を接着したり、紙製フード(逆光に弱いヤマノンの必需品です。また外筒後方に伸ばしせばマクロ用延長筒になります。光軸? もともといい加減なレンズですから気にしない!?)を外筒を芯にして作ったり自分なりに工夫をしてください。

●露出は絞り優先オートでOK

 ピントはもちろんMFで、鏡筒を回しながら前後させ合わせます。露出は絞り優先モードがあればオート撮影ができます。それ以外はマニュアル露出です。AF機などで絞り情報が必要な場合は、絞り数値を最小に設定します(例:EOSの場合はヤマノンの絞りがいくつでも、F1・0に設定)。機種によっては補正が必要(まったく作動しない機種あり)なのでリバーサルでテスト撮影をおこなってください。
 ヤマノンのニジミ量は絞りで調整します。絞りを開ければニジミ量が増えソフトになります。ソフトフォーカスは露出のプラス補正が基本ですが、私の場合(青ニジミ=色収差がうるさいので)、ネガではプリント時に濃いめに仕上げ、リバーサルでは、ハイライト部に露出を合わせることが多いです。
絞ればシャープな描写になりますが、レンズ径の2/3程度にとどめ虫メガネ独特の描写を楽しんでください。絞るほど色収差はなくなります。テレプラスを利用すると周辺の流れが改善できます(ただし絞り込むほど周辺ケラレが増える。テレプラスでは露出倍数が増える)。構図的には、周辺部は流れてしまうので日の丸構図が無難です。

テレプラス利用例(隅を拡大。センターは右上)

F4(レンズ径の約半分)にテレプラス×2で撮影。

流れがなくなり、ボケも適度で画質もいい(元が悪いし)

露出倍数と倍の焦点が欠点。


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