鹿角平天文台通信

星 に 一 徹

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「 消 え た ラ イ ン 」

 バイクを走らせていても、道の向こうに星が輝いていることに気がつく事がある。
それくらい目立つ星といえば、宵の明星の金星、真夜中の明星の異名のある木星、それと火星(2年半毎に接近するが17〜22年毎の大接近時は特に目立つ)などだろう。
これらの明るい惑星は非常に目立つので(薄明の空に見える金星を除き)、黄道(太陽の通り道)に近い季節の目印に絡むと季節の新三角や大十字などにもなる事もある(参考:星空ガイドこちら
季節の三角の中で一番地味なのが、春の大三角だ。
初夏の夜に頭の上で一番めだつ橙色の麦星(アルクトウルス/-0.1等)純白の真珠星(スピカ/0.9等)は結んで、西側に正三角形を作ると、その三角の頂点の所にある明るめの星(デネボラ/2.1等)とで「春の大三角」ができる。
北斗七星のひしゃくの柄を星なりに延ばすと麦星〜真珠星(この二つの星は春の夫婦星ともいうから、間に入り込んだ惑星は間男?)と繋がる「春の大曲線」を描く。更にそのまま伸ばすと、台形のからす座にたどり着くのだが、。目立つ惑星が間に入り込むとこれらの美しいラインは消えてしまう。
惑わす星「惑星」は移動しているので、星の地図から消えた(載っていない)存在だ。星座(特に誕生星座)を憶えようとする人には邪魔な存在かも知れないが、その年限定の目印の星になってくれたり、望遠鏡で覗くとこれほど面白く魅力的な天体はない。
道路地図でも道が消えている場所に、行ってみると実際は通じていたり、面白かったりする。

春の大曲線に土星(0等星)が混じるのは2011〜13年。
12年と14年には火星が17年には木星が混じりこんで、
スピカより目立ちラインを崩す。
春の大三角の方は土星が09〜10年に、
春の新三角(麦星-真珠星-土星)を作る。

在りし日の国道標識。

この標識は、開通促進ウオーキングの為に
1997年頃に立てられた。
それから約10年間、登山国道を見守ってきた。
できたら、ひっそりと朽ちていって欲しかった・・・。

1400峰から旭岳。

右側に登山道の筋が見える。これが国道!?
左側の旭岳の稜線に重なるのが甲子山。

鹿角平天文台の南側を走るR289も地図では、越後・奥羽山脈で道が消えている。バイクでは行けないが、歩道(古道)で通じている。面白いのは奥羽山脈で途切れた甲子峠付近。これがちゃんとした国道で道標までたっているのだ!
 福島県西郷村甲子高原のR289を、道の向こうに見える那須連山・旭岳に向って走る。新甲子からは旧道が渓谷美を、新道が橋上からの景色が楽しめる。車道はどちらもこの先の甲子温泉で消えてしまうが、そこから先は全国でも珍しい歩いて峠を越える国道なのだ。しかも那須縦走の本格的な登山道で、甲子峠までは約5`徒歩3時間だ。白河で馬市が開かれていた頃は、一日で百頭ちかい馬が越えていたらしいが、今ではひっそりとしている。峠にはバイクでも甲子林道(通行止めの事が多い超悪路。会津側は国道で良く整備されたダート)で行くことができるが、せっかくだから国道を歩いて・・・・なんてことは天文台通信は軟弱なのでいわない(踏破するのも悪くないけど)。
 実は甲子温泉から阿武隈川を渡って数分ほど歩くと、いつも見慣れた国道標識が登山道に立っていて驚くと同時に、本当にここは国道なんだと実感できる。一枚の道標を見に行くだけだが、充分面白いはずだ。現在、甲子トンネルが計画されていて、この登山国道も何年か先には消えいく運命にある。
 帰りは甲子温泉に浴って帰ろう。昔は石膏泉・45度の温泉だったが、湯量を増やそうと深く掘ったら、泉温も下がり単純泉に変わってしまったらしい。ちょっと残念な消えたセン℃ソだ。

PS:08年9月に甲子トンネルが開通し快適な道に! 開通に伴い登山道国道は消滅しました。残念なことにその日のうちに登山道の国道標識は撤去されました(T_T)
PS2:掲載号では火星がスピカの脇にいたので、惑星に変更し加筆しました。
PS3:甲子林道は07年6月現在廃道寸前の川原のような道です。また峠で盛土で閉鎖されています。
PS4:R289/甲子の”消えたライン”は、実はもう一本あります(^^; これ書いたときは、こんなオチがつくとはおもわなんだ。
ブログに写真だけ貼っておきます(^^;


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